ホームページの引き継ぎは、WordPressのログイン情報を渡せば終わり、とは限りません。ドメイン、サーバー、問い合わせの受信先、写真の元データ、外部の予約サービスなど、サイトを動かすための要素はいくつもあります。

この記事では、更新忘れへの対策やバックアップの取り方そのものではなく、担当者が変わっても日常の業務を続けられるための情報整理を扱います。大きなマニュアルを完成させるより、次の担当者が実際に作業できる状態を目指しましょう。

この記事で分かること
  • 引き継ぎで整理する情報の範囲
  • パスワード一覧だけでは足りない理由
  • 実際の操作で確認したい三つの業務
  • 旧担当者のアクセスを見直す順番

まず「何が、どこで、誰の管理か」を一覧にする

最初に、利用しているサービスと管理する人を一覧にします。契約の確認先、更新通知が届く先、設定を変えられる人が異なる場合は、それぞれを分けて記録してください。

制作会社が管理しているものを、勝手に自社で操作できるとは限りません。変更や引き継ぎを依頼する窓口、作業範囲、費用が発生する条件は、現在の契約内容を確認して整理します。権限や所有関係を推測で決めつけず、分からない項目を質問として残しましょう。

対象 残しておきたい情報
ドメイン・サーバー 利用サービス、契約確認先、通知先、問い合わせ窓口
WordPress 管理画面のURL、担当者ごとのアカウント、更新する範囲
問い合わせ 受信先、確認する担当者、返信の手順、障害時の連絡先
外部サービス 予約、決済、地図、分析などの管理先と担当者
素材・原稿 保存場所、最新版、利用条件を確認できる記録
保守対応 依頼先、対応範囲、緊急時の連絡方法

「情報の一覧」と「秘密の情報」を分けて管理する

引き継ぎメモに、すべてのパスワードや復旧コードを平文で並べるのは避けましょう。メモにはサービス名と、認証情報を安全に管理している場所への案内を残し、共有方法は組織の運用に合わせて決めます。

新しい担当者には、必要なサービスで本人用のアカウントを用意し、担当する作業に合った権限を設定します。記事の更新だけが必要な人に、すべての設定を変えられる権限が必要とは限りません。

二段階認証を使っている場合は、旧担当者の個人端末がないと入れない状態になっていないか確認します。認証を外して解決するのではなく、新しい管理体制で安全にログインできる手順を整えてください。

よく使う作業を、次の担当者が一度行ってみる

マニュアルを読めることと、作業を完了できることは別です。実際の操作を確認すると、説明の抜けや権限不足が見つかります。本番へ影響しない下書きや確認用の環境を使い、次の担当者が操作する形で進めましょう。

01

お知らせを下書きにする

タイトル、本文、画像、カテゴリー、日時を入力し、プレビューまで確認します。公開前に誰が確認するかも決めます。

02

問い合わせを受け取り、対応先を確認する

テストであることが分かる内容を送り、どこに届くか、誰が確認するかを一緒に見ます。自動返信と担当者の返信を混同しないよう整理します。

03

困ったときの連絡先をたどる

表示がおかしい、メールが届かないなどの場面で、どこへ何を伝えるか確認します。画面のURLや発生時刻を記録する手順も残します。

引き継ぎの完了は、「資料を渡した日」よりも「次の人が必要な作業をできた日」で考えると実務に合います。

写真・デザイン・有料機能の扱いも確認する

サイト上の画像だけでなく、元の写真や編集可能なデザインデータがどこにあるかを確認します。素材ごとに利用条件が異なる場合があるため、購入記録や許諾の確認先も残しておくと、リニューアル時に判断しやすくなります。

有料のテーマやプラグインは、誰の契約で使っているか、保守契約を変更した後も更新できるかを確認してください。制作会社の契約に含まれている機能を、そのまま引き継げるとは限りません。利用継続の条件を担当窓口へ確認し、必要なら代替手段も相談します。

納品されるデータの範囲も契約によって異なります。手元に見当たらないものは、まず所在と引き渡し条件を確認し、作り直しが必要かどうかを判断しましょう。

アクセスを止めるのは、新体制での確認が済んでから

旧担当者のアカウントを先に止めると、設定や契約を確認する手段まで失うことがあります。まず新担当者のログイン、通知の受信、必要な操作を確認し、その後で不要になったアクセスを整理します。

WordPressのアカウントを削除する場合は、過去の投稿をどう扱うかにも注意が必要です。削除によって内容を失わないよう、投稿の引き継ぎ先などを確認してから作業します。外部サービスも一律に操作せず、それぞれのアカウント・権限管理の方法に沿って進めてください。

1
一覧と不足情報を確認する

管理するサービスを並べ、不明点を旧担当者や契約窓口へ確認します。

2
新担当者が操作を確認する

ログイン、下書き、問い合わせ対応など、必要な業務を試します。

3
権限と連絡先を整理する

不要なアクセスを見直し、通知先や保守の窓口を新体制に揃えます。

4
完了日と残る課題を記録する

未解決の契約確認やデータ受け取りがあれば、担当者と期限を明記します。

  • ✓サービスごとの管理先と連絡先が分かる
  • ✓新担当者が必要な権限でログインできる
  • ✓認証情報を安全に共有する手順がある
  • ✓原稿・写真・有料機能の確認先が分かる
  • ✓実際の操作を確認してから旧アクセスを整理する

担当変更の予定がなくても、この一覧は作っておく価値があります。急な休みや外注先の変更があっても、必要な情報へたどり着けることが、ホームページを長く使うための備えになります。